研究成果の概要
岩手県北コホート研究参加者概要との二戸地域の脳卒中発症率と介護認定率
本稿では、岩手県北コホート研究の研究デザイン、対象者選別、登録調査時期、登録時調査方法の概要を解説し、登録時調査の横断解析で判明した参加者の属性を示すとともに、二戸地域で進行して進められた追跡調査結果を基に、総死亡率、脳卒中罹患率、介護認定率を前向き調査の結果から年齢階級別に算出しました。さらに、上記3評価項目に影響するリスク要因についてCox解析分析によって得られた多変量調整ハザード比を求めることで評価しました。
本研究は平成14年に二戸地域で登録作業が始まり、平成16年久慈地域で登録作業を終了しました。対象地域は岩手県北部18市町村で、研究参加者は、健康診査を受診した総数31,318人(男11,003人、女20,315人)のうち、研究参加の同意を得た26,472名(男9,162名、女17,310名、同意取得率84.5%)でした。26,742名の参加者の登録時検査データの横断解析を行い、血圧値、血清脂質値、糖尿病者割合、高脂血症者割合、肥満者の割合、喫煙率、飲酒習慣、運動習慣、栄養摂取状況を性別・年齢階級別に明示しました。その結果、高脂血症は、男性では全ての年代で30%前後みられること、女性では40歳未満では10%未満であるの対して50歳以降では40%を超える。糖尿病有病率は年齢が上がるとともに上昇し、男性の60代8.4%、70代で9.1%であった。女性では、それざれ4.3%、5.9%であった。高度肥満者(BMI≧30 kg/m2)割合は、男女ともに20代が最も高かい結果でした。
平均3.8年の観察期間の追跡調査を行った二戸地域の参加者に関して、総死亡率、脳卒中罹患率ならびに新規介護認定者(要支援または要介護1以上の者)の割合を年齢階級別に明らかにしました(表参照)。またこれらのイベントに影響する要因の検討結果、脳卒中罹患に関しては、収縮期血圧が高いほど罹患率が高かいこと、新規介護認定のリスク要因についての検討結果では、脳卒中と同様に収縮期血圧が高いほど介護認定リスクが高いこと、男性では常用飲酒者や禁酒者で介護認定リスクが高いこと、女性では、血清総コレステロール値が低いほど、BMIが大きいほど介護認定リスクが高いことが示されました。